がんに伴う痛みや不安を通院しながら和らげられるよう、日進市米野木町の愛知国際病院は1月、市内で初めて緩和ケア外来を開設した。県健康対策課によると、昨年6月1日現在、緩和ケアを外来で実施しているのは県内28病院。尾張東部では公立陶生、愛知医科大、藤田医科大の3病院に次いで4施設目となる。患者だけでなく、支える家族のサポートにも力を入れる考えだ。 (平木友見子)
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緩和ケアとは、がんを治すのではなく、身体的な痛みや精神的なつらさなどに直面する患者や家族の生活の質(QOL)を向上させることを目指す専門的な医療やケア。国際病院ではこれまで、緩和ケアの相談をしたい人も通常の外来を訪れていた。しかし、大勢の人を診る必要があるため慌ただしく、十分な時間を取れない課題があった。
そこで、専門外来の必要性を感じた太田信吉院長が開設を決断。在宅診療とホスピス病棟を担当していた医師の米山哲司さん(59)に外来を任せた。
「日本で緩和ケアは、治療ができない終末期のものというイメージ。しかし、海外では治療と並行して受けるのが主流」と米山さんは言う。働きながら治療したい、最期は自宅で、ホスピスに入りたい…。「そうしたさまざまな希望をかなえるための選択肢を提示するのが緩和ケア」と強調。在宅診療とホスピス、複数の診療科を持つ一般病院-という三つの機能を備える国際病院の強みを生かし、「従来のイメージを変えていきたい」と語る。
緩和ケアの対象は患者だけではない。米山さんは、多忙などから介護や薬の管理を担う余裕がないにもかかわらず、患者のために無理を重ねて疲弊する家族を多く見てきた。「時間をかけて、家族もしっかりサポートしたい」と力を込める。
さまざまな専門職同士が連携するチーム医療が、緩和ケアの特徴。薬が合わなければ薬剤師、金銭的に困っていれば行政やケースワーカーなど、看護師はそれぞれを結びつける役割を担う。外来師長の高橋あすかさん(54)は「勉強をして引き出しをたくさんつくることが大事」とほほ笑む。「不安や悩みを早めにキャッチできれば。『困ったらここにおいで』のスタンスでやっていきたい」
緩和ケア外来は木曜午後の3枠で各40分程度。完全予約制。(問)同病院=0561(73)7721