2025年春に常滑市民病院と経営統合する半田市半田病院(東洋町)は、新病院の開院に合わせ、物品の搬送や清掃などを担う「サービスロボット」の導入を検討している。人が行う業務をロボットに任せ、看護師らの負担を軽減する狙い。病院関係者は「ロボットを活用し、働き方改革を進めていきたい」と見据える。
外来患者や職員が行き交う病院1階ロビーで、人の背丈ほどのロボットが行き来する。障害物を感知すると、滑らかに方向転換して衝突を避けた。
1月末、病院と県は共同で、サービスロボットの動きを確認する実証実験を院内で開いた。参加したのは大手メーカーやベンチャー企業が開発した10機で、物品の搬送や遠隔診療、清掃など担う。このうちオムロン(京都市)の自律走行型ロボットは開閉式の棚を搭載し、薬剤や検体を中に入れて目的地まで運べる。搬送中は棚にロックがかかり、専用のカードキーをかざして取り出せる。
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実証実験に参加したロボット=半田病院提供、半田市の半田病院で
働き方改革を進めている同院では以前から、医療現場でのロボット導入を議論していた。そこで、ロボットの機能を体感する県の事業「あいちロボットトランスフォーメーション(ARX)」に参画し、業務の効率化を実証することにした。
薬局まで薬剤を取りに行くといった業務をロボットに移すことで、看護師が持ち場を離れる時間を減らし、本来の看護に専念する時間を増やす狙いがある。今春から勤務医の時間外労働の上限規制が適用されるのに合わせ、医師以外の医療従事者「コメディカル」の労働環境も改善するつもりだ。
渡辺和彦院長は実験を受け、「職員の反応は非常に良かった。働き方を改革をしていく上で、ロボットは大きな役割を担う。看護を提供する時間をしっかり確保するという意味では、患者さんにも間接的にメリットがあると考えている」と述べた。
職員らへのアンケートなどを踏まえて、今後どのロボットが導入に適しているかを検討する。
(山岸弓華)