一宮市開明の一宮西病院で二日、新病棟の完成を祝う竣工(しゅんこう)式が開かれた。北側にある既存の病棟と合わせ、病床数は八百一と従来の約一・六倍となり、医療法人の病院としては県内最大級の規模になった。四つの診療科も新設し、より幅広い患者に対応できるようになる。オープンは七月。(猿渡健留)
新館に当たるB棟は、既存のA棟とほぼ同規模で地上十一階建て、延べ床面積は三万六千平方メートル。病床数は約四百。院内は広々として外光が差し込み明るい雰囲気が漂う。屋上にヘリポートを完備し、ドクターヘリで円滑に搬送できる。
これまで症状がある程度回復してきた患者には、同院を運営する社会医療法人「杏嶺(きょうりょう)会」傘下の尾西記念病院などに移ってもらっていたが、新たにリハビリが必要な患者向けの病床を整備。西病院の中だけで医療が完結する体制をつくった。新館オープンに合わせ、尾西記念病院は閉院する。
診療科は腎臓内科や腫瘍内科、緩和ケア科、歯科口腔(こうくう)外科を新設し、幅広い症状に対応。がん治療の対応を強化するため、全身のがんの可能性を調べられる最新の検査機器も用意した。
現在、既存のA棟も改修中で、改修後には女性のプライバシーに配慮し、乳腺外科や婦人科をワンフロアにまとめたレディース外来を設置する予定だ。
二日の竣工式には、関係者約三十人が出席した。神職によるおはらいの後、参加者たちが病院の繁栄を願った。
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「絶対に断らない医療」実現へ 上林病院長 展望語る
一宮西病院長で、杏嶺会理事長を務める上林弘和さん(67)が2日、本紙の取材に対し「絶対に断らない医療という理念に基づき、診療科を増やした」と語った。
従来は急性期医療が中心だったが、新館で回復後のリハビリ患者も受け入れられるようになった。上林氏は「シームレスな(継ぎ目のない)医療で地域住民を支えていく」と強調した。
今後は院内であらゆる治療を完結し、退院後の生活もサポートできる体制を目指す。「地域医療がうちの使命。『西病院にかかってよかった』と言ってもらえるようにしたい」と話した。
将来的には訪問看護の現場に看護師を派遣する「訪問看護ステーション」をもっと増やしたいとして、「退院した患者さんをちゃんとフォローして、地域を支えていきたい」と語った。
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かみばやし・ひろかず 1981年愛知医科大卒。同大病院勤務、上林記念病院院長を経て2009年に一宮西病院院長と杏嶺会理事長に就任。一宮市出身。