職種に関係なく対等な立場で、患者さんにチームでアプローチ
Q1 病院の特徴は?
回復期リハビリテーションを目的とする当院では、患者さんの約9割が社会復帰を目的にしています。私たちはその達成に向けて、多職種がチームとなって動きますが、特徴は介護福祉士を多く配置している点。入院中はADL(日常生活動作)の獲得が中心になるので、必然的に介護福祉士をはじめ介護職が多くなりますし、カンファレンスではさまざまな意見をもらいます。病院全体で待遇も含めて介護職を大切にしていると、自信を持って言えますね。また患者さんのADLの能力回復は、訓練の中ではあくまでも訓練。日常生活で生かせるようになって、初めて私たちの役割が果たせたことになるので、デイルームでのイベントなども、まるで介護施設のように積極的に行っています。
Q2 回復期リハビリテーションでの看護職・介護職に求められるのは?
患者さんのADLの能力を回復させる上では、過剰看護・介護は禁物です。ときには「待つ」ことが必要で、当院では看護も介護も「行動抑制をしない」という方針を掲げています。例えば、転倒の危険がある患者さんが立ち上がり、歩こうとした。その時「立ち上がると危険ですよ!」と行動を制止しないで、「一緒に歩きましょう」と見守る。このような事例を通して、「何故、患者さんは立ち上がったのか」「何故、私は制止したのか」を振り返る。このような事例検討を定期的に行っています。振り返ることで自分の看護観・介護観を見つめ直してもらう教育の一環ですが、「~してはダメ」といったスピーチロックがなくなってきたのは一つの成果です。
Q3 看護部長として心掛けていること、喜びに感じることは?
私は、仕事を通して自己成長をすると思っています。いろんな人と接しながら、自分が知らなかったことを知り、ときには未熟さに落ち込むこともあります。だから誰よりも努力することを怠りたくはありません。知識を得ておかないと、判断を誤り、相手を理解できなくなりますから。それと、年々歳々穏やかになってきたこともありますが、怒ることなく聞き役に徹しています。看護部長として接することの多い看護師長や看護主任などのちょっとした一言に、「あ!分かってくれた」とピンとくることがあります。そういうときが一番うれしいです。
****メッセージ****
自分の思っている看護・介護をしていいんです
リハビリテーション病院は、新人、キャリアがある人を問わず、自分が思っている看護・介護ができる場所であり、看護・介護の本質を考える場所だと思っています。そして一人ではなく、皆での実践が可能で、これによってやりたかった看護・介護がはっきりするでしょう。当院は、急性期の病院から移ってきた人が8割に上りますが、「他職種との意見交換ができる」「リハビリテーションの訓練が見られる」「各専門職の考え方が違うので勉強になる」と、ぶつかり合うことによる不満どころか、仕事としての面白さを実感していますよ。