保育のお仕事インタビュー《小規模保育事業所編》
対象は0~3歳未満児、定員は6人以上19人以下と、少人数で行き届いた保育が実践できる小規模保育事業所。2015年に認可事業となったのを機に開設数は増え、待機児童解消にも欠かせない施設形態といえます。今回、公立の認可保育園での勤務経験もある保育士さんの下を訪ねました。
Q1. 働く場所として小規模保育所を選んだのは、なぜですか? ―――――
学校を卒業して最初に就職したのは、公立の認可保育園です。公立なので異動があり、さまざまな規模の園での保育を経験しました。その中で、1学年1クラスの小さな園に赴任したことがあります。ここでは、年長さんが年少さんに手を貸し、年少さんが年長さんの所作の真似をする。歳の違う子どもが当たり前のように関わり合っていました。少子化が進んでいる昨今、子どもたちが育ち合える場所は貴重ともいえます。保育をしながらその大切さを痛感するとともに、やりたい保育が明確になったのです。
現在の会社との出会いは、保育士の就職イベントでした。当時はまだ小規模保育事業所に関する知識はありませんでしたが、家庭的な雰囲気や異年齢の交流を実践していることを知り、転職を決意しました。また定員が少ない分、一人一人の子どもとじっくり向き合うことができるところも、もちろん魅力に感じています。
Q2. 小規模保育事業所の保育士になって、自身にはどんな変化がありましたか? ―――――
保育士は、子どもに愛情を注ぐことで気持ちが満たされるものです。小規模保育事業所は子どもの数こそ少ないですが、より深く愛情を注いだ保育をすることができるので、やりがいと責任を一層強く感じるようになりました。
また、小規模保育事業所に勤め始めるようになって「見守る保育」を意識しています。もともと保育士は世話好きが多く、子どもの先回りをして行動しがちです。私自身もそうでしたし、もちろん良い面もありますが、振り返ると子どもが集中する瞬間を止めてしまうときもあったように感じます。今は、声掛けの必要がないときは極力見守るだけ。そうすることで、子どもたちだけの発見や、遊びの幅が広がることがあることを何度も目の当たりにできましたし、良い意味で保育観が変わったと思っています。
Q3. 自分に合った就職先を選ぶポイントは何でしょうか? ―――――
まずは園を知ることが大切です。「集団での行動を大事にしている」「自由遊びを優先している」など、どんな園にも保育理念があり、規模の大小や施設形態を問わず異なります。また見学などに行った際は、保育士が子どもたちと過ごす様子もさることながら、保育士同士のやりとりも見ることができると良いでしょう。外部の方が来ても、自然にコミュニケーションが取れている園は、風通しが良い証拠。楽しく保育ができているか、時間に追われていないか、その表情からも読み取ることができると思います。
保育士を目指したのは、将来子どもと関わる仕事がしたいという思いからではないでしょうか。その願い通りに保育ができるのは、小規模保育事業所なのかもしれません。