心筋梗塞などの心血管疾患を発病した患者の配偶者は、うつ病を発症するリスクが高いことが分かったとの研究結果を、ボストン大と京都大などのチームが12日付の国際科学誌に発表した。
チームによると、患者本人の心血管疾患とうつ病に関連があることは報告されていたが、家族への影響が明らかになったのは初めてだという。
がん患者には家族へのカウンセリングなどがあるが、心血管疾患の家族への対策は現状では行われていない。チームは「多くの施策は患者本人のみが対象だ。家族全体を意識したケアを提供することが、予防医療の観点から重要な視点となる」としている。
チームは中小企業の社員や家族などが加入する全国健康保険協会のデータを使い、20歳以上の夫婦約28万組について、2016~22年の病歴などを追跡した。配偶者が心血管疾患を発症した夫婦と、そうでない夫婦で、生活習慣や所得、疾病歴などが似ているペアを作り、うつ病の発症状況を比較した。
配偶者が心血管疾患を発症した夫婦での発生率が3・82%だったのに対し、そうでない夫婦は3・36%で、うつになるリスクが1・13倍高くなった。性別や年齢、既往歴や所得との関係はなく、入院を伴うような場合など、病状が重くなるほどリスクが高くなっていたという。