人口減最大51万人 19年推計
2019年生まれの赤ちゃんの数は1899(明治32)年の統計開始から初めて90万人を割り込み、過去最少の86万4千人(前年比約5万4千人減)となる見通しであることが、厚生労働省が公表した人口動態統計の年間推計で分かった。減少幅は平成が始まった1989年以降で最も大きかった。一方、死亡数は137万6千人で戦後最多。死亡数から出生数を引いた人口の自然減は51万2千人(同約6万8千人増)で過去最大となる見込みだ。
深刻化する少子化と人口減に歯止めがかかっていない状況が改めて浮き彫りになった。社会保障制度の支え手である現役世代の減少が続けば、現状の年金や介護、医療制度の維持が難しくなる可能性がある。
国立社会保障・人口問題研究所が17年に出した推計では、21年の出生数を86万9千人になると見込んでおり、予想より2年早いペースで減少が進んだ。厚労省の担当者は「出産適齢期とされる25~39歳の女性数が減少し、令和元年に結婚を先送りしたカップルがいたことが影響したのではないか」としている。
19年に結婚したカップルは昨年より約3千組減の58万3千組で戦後最少。離婚は前年比約2千組増の21万組だった。
政府は若い世代が希望通りの数の子どもを持てる「希望出生率1・8」の目標実現を25年度末までに目指すとして、今年10月に幼児教育・保育を無償化するなど子育て支援や若者の雇用対策を進めている。本年度内に第四次少子化社会対策大綱がまとまるが、今回の推計は大綱に盛り込む施策にも影響を与えそうだ。
出生数は平成が始まった1989年では約124万7千人だったが、平成の30年間で約3割減。18年は前年に比べて約2万8千人減少した。今回の減少数は約2倍で減少速度が速まっている。また今年7月1日現在で30代女性は約683万人、20代は約577万人だった。
12月25日(水)中日新聞朝刊